湯けむりを後にして、雪の硫黄岳を登る2023/3/10-12

今年の3月の八ヶ岳は例年に比べて雪が少なく、そして暖冬と降雨で雪が氷状態だと聞いて、行く前から少し緊張していた。そこで、ゆとりのスケジュールを組んで臨むことにした。

10日金曜朝家を出て、普通電車に乗り立川駅で弁当を買い、また普通電車を乗り継いで3時前にJR小海線の松原湖駅に着いた。途中、中央本線はクロスシートの4人掛けと思っていたのがロングシートであったが、客数も少ないので高尾駅と小淵沢駅の間でシャケ弁当をいただいた。南アルプスの山々を見て、小淵沢からは八ヶ岳の山々を眺め、天気の良い青空を眺め眺めながら陽光を浴びる気持ち良い電車旅を楽しんだ。松原湖駅では本日宿泊の稲子湯の宿の車が迎えに来てくれていた。それに乗り20分ほど走って宿に到着。八ヶ岳の山麓にある古い旅館だ。まずは湯治場としても有名なお湯をいただいた。硫黄の臭いが微かにするいいお湯だ。夕食は今回一緒に登る仲間と2人で食べた。豪華な料理だ。なんか旅館の料理は久々で嬉しかった。あと、もう1人が仕事を終えて車で駆けつけ、夜着く予定だ。今回は3人での雪山登山だ。驚いたことに、こんないい湯の旅館に本日の宿泊者は我々3人だけ。金曜の平日だからだろうか? その日はWBCのテレビ中継を見て寝床に着いた。

翌朝、ひと風呂浴びて、また豪華な朝食をいただいた。そして、みどり池入口まで車で移動。いよいよスタートだ。車を駐車場に停め、降りるとそこはもうカチカチの氷状態。危うく滑りそうになった。有無を言わさずアイゼンを装着しろということか。駐車場から出るとアイゼンを付け、歩き始めた。結局、ここから翌日ここに戻ってくるまで、ずっとアイゼンを装着して歩き続けることになる。雪中行軍となって、黙々と歩く。もっと緩やかな坂道を想像していたので、そこそこの斜度に歩みはゆっくりとなり、疲れる。30分も歩くと、周りは真っ白な世界となった。約1時間半でみどり池にたどり着く。当然、池は凍ってその上に雪が積もり真っ白だった。そこの前にテーブルがあったので、そこで休憩。天気が良く青空が見え、気持ちが清々しい。隣に10人余りの団体がいて、彼らはリスを追いかけて写真を撮ったり、話に花を咲かせたりと和やかに時間を過ごしていた。私たちは休憩を終え、本沢温泉と向かった。私たちがそこを後にするときも隣の団体さんはまだそこにいた。後で知ったのだが、そこにある山小屋、「しらびそ小屋」が開くのを待っていたようだ。そこに宿泊したのか、そこでケーキを食べたのかは分からないが、しらびそ小屋は、リスと厚切りトーストで有名なこじんまりとした小さな山小屋のようでした。

そこから本沢温泉までの道は斜度がそこそこ厳しく、ゆっくりと雪を踏みしめながら進んだ。所々で木々が開けたところから見えるのが硫黄岳。あそこまで登るのか、長いな。1時間半、やっと本沢温泉にたどり着いた。大きな山小屋だ。私たちは新館に宿泊。内湯の「こけももの湯」は今はやっておらず、外にある「石楠花の湯」の小屋にアイゼンをつけて入りに行った。歩いて2分ほどだ。しかし、雪道で転倒するのは嫌だからしょうがない。いい湯だ、湯加減がちょうどいい。仲間は、ここに来たらと日本一の高所にある露天風呂、雲上の湯にも浸かりに行った。標高2150mだ。本沢温泉からは10分ほど歩かなければならない。私もかつて夏場にここまで来て入ったことがある。冬は冬で周りの景色が違い、いい風情が出ている。そして何より、バック正面にはこれから登る硫黄岳がどーんと見える。本沢温泉に着いて、お昼ご飯を注文した時に私たちは今日はもう先には行かず、このまま泊まることを決めた。疲れたのだ。本当はこのまま硫黄岳頂上まで行き、下山してここまで来て宿泊するという選択もあったのだが、それはもう無し。温泉でゆっくりし、そして17時半の夕食はおでん。20時消灯までは薪ストーブが焚かれて暖かい談話室で他の登山者と話し、あとは寝るだけ。と、ところが寝付けない。明日は厳しい登りだけに寝ないとダメと思うと焦って、余計に寝付けない。豆たんアンカを抱き体を温め寝ようとするが寝れない。と、すでに朝となり、6時半からは朝食。

7時半ごろには本沢温泉を後にして、いよいよ硫黄岳頂上へと向かう。寝不足のせいか、少し足がふらつく、心配だ。まずは夏沢峠までの約1時間半を黙々と登る。そして、ここからはいよいよ森林限界で木々がなくなり、岩と雪の硫黄岳にへばりついて斜度のきつい坂を登る。確かにここで風に吹かれたら危ない。本沢温泉まで来て、風で登頂を諦めざるを得ないことは当たり前のようにある山だけに、今日、風がないのは幸運。足のキツさとの戦いだ。ゆっくりゆっくりと進む。途中何人にも追い抜かれるが気にしない、マイペース マイペース! そしてやっと頂上が見えた。そこからまた2,30分は登った。そして、やっと登頂! 正確に言うとここはまだ頂上ではない。ここは2742mで、2760mの頂上は噴火口に沿ってもう少し先にある。とはいえ、そこから見える景色はなんか日本には見えない景色だった。南に見える赤岳、阿弥陀岳はヨーロッパのアルプスのようだ。そして、硫黄岳の噴火口は富士山のそれのようだ。そして北に見える蓼科、茅野の町。美しい! 1人遅れて登頂! これで全員登頂、みんなで写真を撮った。良かったよかった。天気は1日中曇りの予報だったが、3人が登頂した時は雲が晴れ、青空の中、飛行機雲が走っていた。

下山も夏沢峠までは要注意要注意で進み、それでも足の疲れで踏ん張りができず、みんな順番に床に足を取られて何度か転倒した。夏沢峠の「山びこ荘」は閉まっており便所もなく、そこは通過し本沢温泉まで歩く。3時間はかかったか。疲れた、アイゼンを脱ぐ。そして、本沢温泉のカレーをみんなで食す。美味しい。写真も撮って、あとは昨日の出発地みどり池入口まで歩く。疲れはあるが、少しずつでも下山して進めれば、後はゆっくりできるのだからを励みに頑張るしかないのだ。本沢温泉から3時間、ついにみどり池入口に到着。帰り支度をし、車で佐久平駅と向かい、「ニュー健康ランド佐久」で風呂と酒で疲れを取り、みんなの無事を噛み締め、今回の山を終えた。

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1件のコメント

  1. 楽しんでいるようで、よかったです。若い頃、吉田さんからヒッチハイクの心得を教えて貰ったのを思い出しました。気をつけて遊んで下さい❗️

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