四国八十八ヶ所お遍路歩き旅 6日目 2022/5/15

遍路宿の「鮒の里」は心身共にくつろげた。宿の表は静かな旧遍路道に面し、裏はすぐ立江川という落ち着いた雰囲気に休まった。次は第二十番鶴林寺、そして第二十一番太龍寺だ。山を登って鶴林寺、下りてまた次の山に登って太龍寺、そして麓まで下山。今日もハードな一日になりそうだ。

まずは最初の登口のある勝浦の町まで10キロだ。自動販売機でポカリを買う。焼山寺であったおばさんお遍路さんから水を飲んでいるのを見て、ダメ出しをもらった。農作業をやる老人は水やお茶ばかり飲んでるから、すぐに倒れて救急車で運ばれるの、ポカリを飲みなさいと。おばさんは救急ヘリの看護師をやっているという。素直にそれからはずっとポカリだ。田園風景が続く道を歩く。すぐに神社があった。徳島県は本当に大きな歴史のある神社の多い地域だ。また神社にはたいがい大きな御神木がある。関東にも、いや日本はどこにも神社が多いのかも知れない。他にあまり何もなく、またその規模が大きいので、お遍路をしていて神社が印象に残っているのかもしれない、と考え直した。今日の二つ目の神社、八幡神社の鳥居の下に自転車で2人の女の子がやって来た。話している言葉はタガログ語だ。フィリピンから来たのだろう。そこにまた1人の女の子がやって来た。3人は楽しそうにおしゃべりを始めた。きっと、フィリピンからの出稼ぎなんだろうな。そうか、今日は日曜日だ。仕事休みの日に仕事場が違う仲間が神社で待ち合わせして、おしゃべりをする。20歳前後だから、何を話しても楽しいのだろう。そして、悩み事も聞いてもらったりもしてるのだろう。従事しているのは工場なのかな、農業なのかな、でも国を離れて家族のために一生懸命に働いている。若いのに健気に頑張ってるなあ、と思ったら涙が急に出てきた。嬉し泣き。何かお遍路していると涙もろくなったようだ。女の子たちのはしゃぐ声を後にして歩んだ。しばらく歩くと、前からおじさんお遍路さんが一人やってくる。挨拶すると、昨日夕方近くに麓に荷物を置いて鶴林寺に急いで登ったが日が暮れ、暗闇の中を下山。道がわからず困っているとお坊さんに助けられて下山したという。今日になって重い荷物を背負ってまた鶴林寺まで登り、そして次の太隆寺に向かう元気がないので、平地で回り込んで太龍寺の山を登ってお参りするという。大変なこった。歳は私よりも五つくらい上で、テント中心で回ってるようで荷物が多い。これでも重すぎたから、途中で荷物を自宅に送り返したようだ。そこは私も同じです、と。荷物が多い時は体の前にも荷物を背負っていたという。そう言えば、背中と前の両方に荷物を背負ってポンチョを被ったお遍路さんをどこかで見かけたことがある。その人だった。区切り打ちお遍路のようで、今回は室戸岬までは行くようだ。長く話し込んで別れた。

鶴林寺への登口に着いた。舗装された細い道だ。登り始める。急だ、相当な遍路ころがしだ。次第に山の中に入っていく。道は普通の山道に変わった。しかし、焼山寺に向かうような分かりづらい箇所もある細い道ではなかった。安心した。道に迷うことはなく、ただひたすら我慢の登りだ。前を見ると2人歩いている。日本人ではないようだ。追いついて聞いてみるとタイの方だった。僧侶の格好だ。写真だけを撮らせてもらって、励ましの声をかけて先を急いだ。5、600mぐらいの山だろう。きつい登りは続いた。やっと辿り着いた。山門の仁王様には仁王の前に鶴がいた。仁王様以外のものがこの場所にいるのは初めて見た。さすが二羽の鶴とお大師さんの伝承のある鶴林寺だけはあるな。数百年以上の樹齢の木が立ち並び静謐な空気が漂う寺でお作法を済ませ、登ってきた反対側に下山。これもまた大変だった。さて、続いて太龍寺だ。鶴林寺からは下って登って7キロ近く歩くことになる。一般の方はみんなロープウェイを使って約10分で到着するところを2時間ほどかけて登る。古来より「西の高野」と呼ばれる太龍寺は威厳ある、そして幽寂な広大なお寺だった。お作法を済ませ、お遍路道のいわや道を下ることにした。2時間ぐらいはかかるかも。誰も歩いていない道を一人行く。山道も平地の道も誰もいず独り歩くことに少しは慣れてきたかも。日が暮れては困るので急いだ。こけて怪我せぬように慎重に急ぐ。やっと道路に出た。雨に降られることもなく、無事下山。

今日の宿泊先に電話をかけた。「はい、目の前ですよ」と、通りの向こうに停めた車の横で手を振るおばさん。太龍寺から電話して、どの道で下山するかを相談していたので、下山時間を読んで待っていてくれたのだ。感謝。車でコンビニに寄って、今日の夕食と明日の朝食を買い、宿に行く。今日の宿は素泊まり宿、「果樹オーナーの宿 碧」。風呂トイレ付きの個室でベッドの洋室。風呂に入って、暖炉のある大広間でテレビを見てひとりで夕食。今日も宿泊者は私だけだった。お接待で洗濯物は預けて、洗濯してもらった。お遍路宿ではこのサービスはよくあるようだ。徳島で三大難関の寺、全八十八ヶ所でも難関6位までに入ると言われている焼山寺、鶴林寺、太龍寺をこれで終えたことになり、ホッとして眠る。

今日の歩行距離は29807m、歩数は42592歩。

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