8月の16日に自転車で玉川八十八ヶ所巡りをスタートしたところだが、その時のブログでも紹介したように、同じような名前で多摩八十八ヶ所巡拝がある。前者は多摩川の下流から始まり、川を挟んで川崎市と東京都のお寺を巡っていく巡拝。前者は東京の三鷹近くから始まり、多摩地帯を西へと向かう。昭和7年に弘法大師さまのご入定を祝って、四国八十八ヶ所霊場のうつしとして作られたものです。
今回は晴天につき、自転車に乗りたくなり、多摩八十八ヶ所巡拝を行くことにした。先ずはいつものように多摩川を登戸で渡り、松原通りを北へ上がる。京王線仙川駅を抜け、吉祥寺の方へと向かうと新川に出る。川沿いの道は走りやすいので、川に沿って自転車を走らせる。途中、鴨がしきりに水浴びを楽しんでいる姿に見入って休憩。
JR中央線を越え、五日市街道に出ると、そこに第一番のお寺、安養寺があった。大きな武蔵野八幡宮の隣に位置している。お作法を済ませ、寺務所に伺い、御朱印をいただいた。すぐに五日市街道を西に走り、10分もせず次の第二番延命寺に着いた。大きな敷地のお寺だ。ここもお隣は神社で、関前八幡神社。寺と神社の一体化、かつての神仏習合だった影響は多く見られる。お作法を済ませて、御朱印をいただく。次はJR中央線を越えようと南に向かって走りだす。すぐに玉川上水に出くわした。と言っても、上水の流れは夏の力で勢いよく育った草木で覆われ、ほぼ上水が見えない状態でした。今度、玉川上水沿いをのんびり端から端まで歩いてみようと思った。今回、この多摩八十八ヶ所巡拝の私の目的のひとつには、昔の人々が憧れた「武蔵野」を感じ取ってみようとすることがあるのだ。どれだけ感じ取れるかは分からないが、国木田独歩の「武蔵野」を読んで、ふとそんな思いにとらわれてしまったからだ。しかし、かつては雑木林だったところは、今は道路や宅地となってしまっているだろうし、地名に残る「武蔵野」の文字を道標で見るだけになるかも知れないな、なんてことを思いながら自転車を走らせている。
玉川上水を過ぎ、第三番井口院にたどり着く。高さが下の台も含め約10メートルもありそうな大きな不動尊像のあるお寺だ。本堂からはお経を唱える声が聞こえる。お大師さんの像もあり、何やら歴史あるお寺のようだ。作法を済ませ、御朱印をいただき、次に向かった。南に下り、第四番長久寺を探した。なんと、たどり着いたところは幼稚園でした。お堂がドーンとある敷地には遊具が周りにあり、今もお迎えのお母さんが数人いて子供たちと遊んでいる。お堂は閉ざされていて、そこに向かってお作法を済ませ、寺務所で御朱印をいただいた。そこを出ると国立天文台の横を走り、調布に向かった。天文台の広い敷地は大きな木々で覆われている。ここは昔の武蔵野の姿がそのまま残っているところかも知れない。
次は調布駅のそばにあるお寺だ。そちらに向かって、電気通信大学の横を曲がった。寺にはたどり着いたが閉まっていた。16時で閉門だったのだ。5分遅かった、残念、今日はここでお終い。矢野口への橋で多摩川を渡った。日が暮れるのが早くなってきた。初秋の風に吹かれて、日が陰り始める中、家路を急いだ。