今日は伊予三島の民宿おおなるを後にして、第六十五番三角寺を打ち、そのまま民宿岡田まで上る。
天気は曇り。お世話になったおおなるを後にした。おおなるの女将さんは、わたしたちが見えなくなるまで宿の前で見送ってくれた。町は昔は製紙業で栄え、賑やかだったようだ。歩いているとお婆さんがお接待ですと千円札を差し出してきた。清田さんと私にそれぞれにだ。お年寄りの方々にとってはお遍路、お接待文化が本当に染みついているなと思った。少しずつ上り始め、標高150mあたりを歩く。この辺りでも畑、田んぼは多くある。遍路道に入り、標高を上げ、舗装道路をさらに上ると三角寺に着いた。三角寺は山門に鐘がつられ、鐘をつくことができた。お作法を済ませ、舗装道路をひたすら上る。途中、「神風特別攻撃隊敷島隊平和の櫻」という案内があった。きっと、この村から出征して戦死なさった方々の戦没記念碑的なものなんだろう。四国の田舎を歩いていて、戦没者慰霊の碑をたくさん目にしてきた。各町村で作ったものだろう。どれだけ多くの若者が自然のどかな田園地域から召集され、戦争の前線に送られ、死んでいったのか。町村の若い力が戦争に刈り取られてしまったのかを再認識させられる。歩道のない道路を歩き、長いトンネルに入った。855m、そこそこ長い。歩道は一段高くなってはいるものの幅は1mはない。大型車が横を通ると怖い。緊張が続く。
トンネルを抜け、2キロ弱で今日の目的地、民宿の岡田に到着。全部で約20キロほどの歩きだった。風呂に入り、洗濯をしてくつろぐ。夕飯時、今日の宿泊者が揃った。二組の夫婦と私で5人だ。ご夫婦は共に区切り打ちで周っておられる。夕飯を食べながら、ここのご主人、岡田さんから明日の行程、雲辺寺までの道の説明を聞いた。93歳の岡田さん、ジョークも交えながらのとてもしっかりなさった説明で、ご年齢が信じられません。気さくな方で、これまでにここに来られた方々との交流も何年も何十年も続いているようで、楽しさがパワーの源なんだろうな、と感じました。アメリカ、台湾、韓国と日本人だけでなく、海外の方々ともエアーメールで交流はあるようで、まだまだ引退はできないようです。
今日の歩行距離は21412m、歩数は30592歩。いよいよ明日は八十八ヶ所中最も高い雲辺寺を打つ。